消化器の
疾患について
肝臓、胆のう、膵臓の疾患について
肝臓、胆のう、膵臓はよくひとまとめにされますが、解剖学的にそれぞれが近い位置にあり、消化に深く関与する非常に重要な臓器です。それぞれに炎症や、がんが発生します。肝炎や胆のう炎、膵炎などは発熱、倦怠感、腹痛を主な症状として発症し、採血や腹部エコーなどで診断できることがあります。がまんして放っておくと急激に悪化し、命にかかわる状態になることがありますので、肝臓や膵臓、胆のうの炎症が疑わしい場合は急性期に対応できる基幹病院を速やかに紹介致します。一方、がんは症状が出たときにはすでに進行していることが多く非常にやっかいです。人間ドックで毎回検診を受けても早期の段階で見つけることはできないことがあります(大阪早期膵がんプロジェクト)。肝臓や膵臓の病気はお酒の飲み過ぎが原因であることが多く、未然に発症するリスクを取り除くことが最も重要です。
慢性膵炎について
膵臓は、食べ物を体内で消化する消化酵素を分泌するはたらきと、インスリンなどのホルモンを血液中に分泌して体内の糖分をコントロールするはたらきをもっています。
慢性膵炎とは、長期間にわたって膵臓の炎症が持続することによって、この2つのはたらきがいずれも徐々に衰えていく病気です。繰り返し炎症を引き起こすことで膵臓の正常な細胞が徐々に破壊され、膵臓が硬くなったり、膵臓の中に石(膵石)ができたりします。
原 因
最も多いのは長期間にわたり大量のお酒を飲むことです。そのほか、胆石やストレスでも発症することが知られており、なかには原因がはっきりしない場合もあります。
症 状
お腹や背中の痛み、お腹の上のほうを押されると痛い、体がだるいなどの症状があります。腹痛は、お酒を飲んだあと、食べすぎや脂肪分のとりすぎなどにより引き起こされます。慢性膵炎を発症すると、腹痛の発作が5~10年にわたり繰り返し起こります。
診 断
腹部レントゲン、腹部エコー、CTなどの画像検査を行います。
症 状
お腹や背中の痛み、お腹の上のほうを押されると痛い、体がだるいなどの症状があります。腹痛は、お酒を飲んだあと、食べすぎや脂肪分のとりすぎなどにより引き起こされます。慢性膵炎を発症すると、腹痛の発作が5~10年にわたり繰り返し起こります。
胆石症について
胆汁の成分が固まって石状になり、胆管や胆のうにたまる病気です。女性、肥満、中高年に多いとされています。痛みや症状を伴わず、日常生活に支障を来たさないことも多いため、検査によってはじめて見つかる場合があります。症状が無い場合は、特に治療をせずに経過観察をしますが、炎症が生じている場合には、薬物治療や内視鏡による治療、手術による摘出が行われます。
胆のう炎について
胆のう炎は、胆石症や細菌感染などが原因で起こる胆のうの炎症です。強い右状腹部痛で発症し、発熱を伴います。胆のう炎は9割が胆石によっておこるとされています。
急性の場合は腹腔鏡などによる摘出手術が必要になります。
胆のうポリープについて
胆石とは違い、無症状であることがほとんどですので、検査をしてはじめて分かります。「胆のう」は胆汁という消化液を貯めるための袋です。この袋の中に隆起してくる病変をまとめて胆のうポリープと表現します。種類は様々ですが、その95%はコレステロールポリープという良性のポリープです。10mm以上のポリープや、平坦なポリープなどは腺腫といわれる良性腫瘍や、悪性腫瘍の可能性があります。腹部超音波検査の結果、典型的なコレステロールポリープと判断された場合は特に心配いりませんので、1年に1回の経過観察で十分です。
胆のう線筋腫症について
胆のう腺筋腫症とは胆のうの壁が部分的あるいは全体的に肥厚する病気です。およそ90%に胆石を伴います。胆のう腺筋腫症はほとんどの場合、悪性化することはありません。ほぼ無症状ですが、胆石や胆のう炎を合併した場合に右上腹部痛などの症状が出ることがあります。症状がなければ、胆のうポリープと同様に1年に1回の腹部超音波検査で経過観察を行います。悪性腫瘍と区別できない場合には、MRIや造影CTなどの精密検査を行います。